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カバー工法の防水上のデメリットとは?

最初に確認したい結論

カバー工法は、防水性を高められる場面があります。ただし、既存の屋根・外壁・防水層を残して上から重ねる工法のため、下地の腐食や含水、雨漏りの原因まで直せるわけではありません。

防水目的で選ぶなら、「上から覆えば安心」ではなく、既存部分を残してよい状態かを先に確認することが大切です。

カバー工法は防水性を高められるが、万能ではない

カバー工法は防水性を高められるが、万能ではない

カバー工法とは、既存の屋根材・外壁材・防水層などを残し、その上から新しい材料を重ねる改修方法です。

屋根カバー工法であれば、既存屋根の上に防水シートや新しい屋根材を施工します。外壁カバー工法であれば、既存外壁の上に新しい外壁材を重ねます。屋上やバルコニーでは、既存の防水層を撤去せず、その上に新しい防水層を重ねる「かぶせ工法」が検討されることもあります。

いずれも、既存部分をすべて撤去する工法ではありません。そのため、既存部分の状態が良ければ、工期や廃材を抑えながら防水性を高めやすい一方で、既存側に問題がある場合は注意が必要です。

工法名だけでは判断できません

カバー工法の良し悪しは、工法名だけでは決まりません。大事なのは、既存部分を残してよい状態かどうかです。

「カバーする」と「防水層を作る」は同じではない

カバー工法の防水性を考えるときは、「既存材を覆う工法」と「防水層そのものを作る工法」を分けて考える必要があります。同じ防水目的の工事でも、防水を担う部分が違うからです。

工法ごとに異なる防水の考え方
工法何をする工法か防水面での考え方
屋根カバー工法既存屋根の上に防水シートや新しい屋根材を重ねる屋根材・防水シート・端部の納まりで雨水の侵入を抑える
外壁カバー工法既存外壁の上に新しい外壁材を重ねる外壁材・通気層・シーリング・取り合い部で雨水に備える
防水層のかぶせ工法屋上やバルコニーの既存防水層の上に、新しい防水層を重ねる既存防水層の状態や含水の有無に左右される
スプレー防水防水材を吹き付けて防水層を形成する継ぎ目の少ない防水層を作りやすい

カバー工法は、防水性を高められる工法です。ただし、防水層そのものを新しく形成する工法とは役割が違います。ここを混同すると、「カバー工法は防水に強いのか、弱いのか」という話があいまいになります。

防水目的でカバー工法を選ぶメリット

カバー工法の主なメリットは、既存材の撤去を抑えやすいことです。屋根や外壁、防水層をすべて撤去する工事に比べると、工期や廃材、騒音、粉じんを抑えやすい場合があります。

また、屋根カバー工法では、新しい防水シートや屋根材を重ねることで、雨水の侵入を抑えやすくなります。外壁カバー工法でも、新しい外壁材やシーリングによって、外部からの雨水に備えやすくなります。

カバー工法が向いているケース
向いているケース理由
既存の下地が健全上から重ねても問題が出にくい
雨漏り原因が限定的必要な補修をしたうえで施工しやすい
既存材の撤去を抑えたい工期・廃材・騒音・粉じんを抑えやすい
断熱性や遮音性も高めたい使用する材料によって機能向上が期待できる
工事中の負担を抑えたい建物を使いながら施工しやすい場合がある

カバー工法の防水上のデメリット

カバー工法のデメリットは、単に「重くなる」「費用がかかる」といった話だけではありません。防水目的で見るなら、特に注意したいのは次の5つです。

雨漏りの原因を隠してしまうことがある

カバー工法は、既存の屋根・外壁・防水層を残して上から重ねる方法です。そのため、既存側に含水、腐食、浮き、膨れがあると、原因を残したまま見えにくくしてしまうことがあります。

たとえば、雨漏りの原因が屋根材の表面ではなく、下地の腐食、外壁との接続部、ドレンまわり、笠木、配管まわりにある場合、上から重ねるだけでは不十分です。施工直後はきれいに見えても、原因が残っていれば再び雨漏りするおそれがあります。

下地や既存防水層の劣化は直せない

カバー工法は、既存部分を残す工法です。そのため、下地の腐食、野地板の劣化、既存防水層の含水や膨れまで直せるわけではありません。

カバー工法が向いているのは、あくまで「既存部分を残しても問題がない状態」です。すでに下地が傷んでいる場合や、雨漏りの原因が分からない場合は、カバー工法よりも撤去を伴う工法や、下地補修を優先したほうがよいことがあります。

端部・取り合い・排水まわりの施工品質に左右される

防水性は、平らな面だけで決まるわけではありません。むしろ雨漏りしやすいのは、端部や取り合い、排水まわりです。端部とは屋根・外壁・防水層の端の部分、取り合いとは外壁との接続部、笠木、配管まわり、設備まわりなど、異なる部材が接する部分を指します。

カバー工法では、新しい材料を重ねる分、こうした部分の納まりが複雑になることがあります。防水シートや新しい屋根材を使っても、端部や取り合いの処理が甘ければ、雨水が入り込む可能性は残ります。どの材料を使うかだけでなく、どこで水を止め、どこへ水を逃がすかが重要です。

重くなる・厚くなることで建物に負担が増える

カバー工法では、既存材の上に新しい材料を重ねます。そのため、屋根や外壁が重くなったり、厚くなったりします。建物の状態によっては問題にならない場合もありますが、古い建物や、すでに劣化が進んでいる建物では注意が必要です。

防水目的でカバー工法を選ぶ場合でも、「雨漏りを止めたい」という視点だけでなく、建物への負担も見ておきたいところです。

次回改修時に原因特定や撤去が難しくなる

カバー工法では、既存材と新しい材が重なります。将来、雨漏りや再改修が必要になったとき、どの層に原因があるのか分かりにくくなることがあります。撤去が必要になった場合も、既存材と新しい材の両方を扱うため、工事範囲や費用が大きくなることがあります。

初期費用を抑えられる場合でも、長い目で見れば再改修や撤去費まで含めて比較する必要があります。

カバー工法を選ばないほうがよいケース

カバー工法は便利な工法ですが、既存部分の状態が悪い場合には向きません。特に、次のような状態では慎重に判断しましょう。

既存部分を残さないほうがよい可能性がある状態
状態カバー工法が向きにくい理由
既存防水層に含水がある新しい層の下に水分を閉じ込めるおそれがある
浮き・膨れ・破断が多い重ねても密着不良や再発につながりやすい
下地や野地板が傷んでいる表面を覆っても支える側の劣化は直らない
雨漏り原因が特定できていない施工後に再発したとき原因を追いにくい
ドレン・笠木・配管まわりに不具合がある雨水の出口や取り合い部から漏水しやすい
将来の撤去や再改修を予定している重ねた分だけ撤去や原因特定が複雑になりやすい

このような場合は、カバー工法そのものが悪いのではなく、既存状態に合っていない可能性があります。先に必要なのは、工法の比較ではなく、雨漏り原因と下地状態の確認です。

カバー工法・塗装・葺き替え・スプレー防水の違い

防水目的で工事を考える場合、カバー工法だけでなく、塗装、葺き替え、張り替え、スプレー防水も比較しておきたいところです。ここでいうカバー工法は屋根や外壁を重ねる工法、防水層のかぶせ工法は屋上やバルコニーの既存防水層に新しい防水層を重ねる工法として分けています。

防水上の役割から見る工法比較
工法防水上の役割向いているケース向いていないケース
カバー工法既存材の上に新しい屋根材・外壁材・防水シートなどを重ねる下地が健全で、撤去を抑えたい含水・腐食・浮き・膨れがある
防水層のかぶせ工法既存防水層の上に新しい防水層を重ねる既存層の状態がよく、工期や費用を抑えたい既存層の含水や膨れが目立つ
塗装表面保護や美観維持が中心劣化が軽く、雨漏りがない雨漏りや下地劣化の解決目的
葺き替え・張り替え既存材を撤去し、下地から直しやすい下地劣化や含水が進んでいる工期・費用・廃材を抑えたい
スプレー防水吹付けで防水層を形成する複雑形状、広い面積、継ぎ目を減らしたい場所下地補修が必要な状態、飛散対策が難しい場所

塗装は主に表面を保護する工法です。屋根や外壁の劣化が軽い場合には有効ですが、すでに雨漏りしている場合や下地が傷んでいる場合は、塗装だけで解決するのは難しいです。

葺き替えや張り替えは、既存材を撤去するため、下地から直しやすい工法です。その分、工期や費用、廃材は増えやすくなります。スプレー防水は、防水材を吹き付けて防水層を作る工法です。屋根材や外壁材を重ねるカバー工法とは、防水の考え方が違います。

スプレー防水が選択肢になるケース

防水目的でカバー工法を検討している場合、スプレー防水も比較に入ることがあります。スプレー防水は、防水材を吹き付けて防水層を形成する工法です。継ぎ目の少ない防水層を作りやすく、複雑な形状や広い面積で採用されることがあります。

スプレー防水が比較対象に入りやすい状況
状況スプレー防水を比較しやすい理由
複雑形状や凹凸が多い吹付けで細かい形状に追従しやすい
継ぎ目の少ない防水層を作りたい連続した塗膜を形成しやすい
広い面積を短期間で施工したい施工方法によっては短工期化しやすい
重量増を抑えたい屋根材や外壁材を重ねる工法に比べ、建物への重量増を抑えやすい場合がある
防水だけでなく表面保護も考えたい摩耗や衝撃への配慮が必要な場所で比較しやすい

「カバー工法が不安だからスプレー防水なら安心」と単純に考えるのではなく、下地の状態と防水目的に合っているかを確認しましょう。

保証があるから安心、とは限らない

防水工事では、保証の内容も確認しておきたいポイントです。「保証あり」と書かれていても、何をどこまで保証するのかは契約によって違います。材料の不具合を保証するもの、施工上の不具合を保証するもの、雨漏り発生時の原因調査や補修まで含むものなど、保証範囲は同じではありません。

契約前に確認したい保証の範囲
確認項目見るべきこと
保証範囲屋根・外壁・立上り・端部・シーリングまで含むか
保証対象材料不良、施工不良、漏水まで含むか
免責事項自然災害、排水不良、第三者工事、管理不備の扱い
雨漏り時の対応原因調査から補修まで含むか
記録の有無施工写真、下地確認、検査記録を残すか

カバー工法でもスプレー防水でも、保証範囲を確認しないまま契約すると、雨漏りが起きたときに「保証対象外」となる可能性があります。工法だけでなく、保証の条件まで見ておきましょう。

防水工事で後悔しないための現地調査チェックリスト

カバー工法を選ぶか、別の防水工法を選ぶかは、現地調査で大きく変わります。見積金額だけで判断するのではなく、次の項目を確認してもらいましょう。

工法を比較する前に確認したいこと
確認項目チェックする内容
雨漏り原因どこから水が入っているか
既存層の状態含水、浮き、膨れ、破断、ピンホールの有無
下地の状態腐食、ひび割れ、脆弱化、密着不良の有無
端部・立上り笠木、パラペット、入隅、端末金物の状態
排水経路ドレン、排水勾配、詰まり、水たまりの有無
貫通部・設備まわり配管、手すり、設備基礎、架台まわりの納まり
既存材との相性新しい材料が既存層に密着するか
工法別の見積もりカバー工法、撤去、塗膜防水、スプレー防水などを比較しているか
保証範囲材料・施工・漏水のどこまで保証するか

比較してくれる業者

  • 既存状態を見たうえで複数の工法を比較する
  • 雨漏り原因と下地状態を確認する
  • 保証範囲を説明する

注意したい提案

  • 雨漏り原因を調べずにカバー工法だけをすすめる
  • 下地や排水を確認しない
  • 保証範囲を説明しない

よくある質問

カバー工法をすれば、雨漏りは止まりますか?

止まる場合もありますが、原因次第です。既存屋根材や外壁表面の劣化が主な原因で、下地が健全であれば改善できることがあります。一方、下地の含水、野地板の腐食、外壁との取り合い、ドレンまわり、笠木、配管貫通部が原因の場合、上から重ねるだけでは不十分です。

防水シートを入れるなら安心ですか?

防水シートは大事ですが、それだけで安心とは言えません。防水性は、端部、立上り、谷部、軒先、ドレン、外壁との取り合いなどの施工品質に左右されます。どの材料を使うかだけでなく、どこで水を止め、どこへ水を逃がすかが重要です。

既存の防水層や屋根材は撤去したほうがよいですか?

状態によります。既存層の状態がよければ、重ねる工法で工期や費用を抑えられる場合があります。ただし、含水や膨れが目立つ場合は、撤去や部分撤去を検討したほうがよいことがあります。

スプレー防水なら、カバー工法より防水性が高いですか?

一概には言えません。スプレー防水は、継ぎ目の少ない防水層を形成しやすく、複雑形状にも対応しやすい工法です。ただし、下地処理や養生、施工経験の影響を受けます。屋根材や外壁材を新しくしたいならカバー工法、防水層そのものを形成したいならスプレー防水、下地から直したいなら葺き替え・張り替えという整理が現実的です。

保証は雨漏り全部を見てくれますか?

保証範囲によります。材料保証、施工保証、漏水保証は別物です。さらに、既存躯体や外壁からの二次的漏水、排水不良、第三者の穴あけ、想定外の荷重などは保証外になることがあります。契約前に、どこまで保証されるのか、雨漏り時の原因調査まで含まれるのかを確認しましょう。

まとめ:防水目的なら、既存部分を残してよいかを先に確認する

カバー工法は、防水性を高めるために有効な場面があります。既存材を大きく撤去せずに施工できるため、工期や廃材を抑えやすく、条件が合えば雨漏り対策にもなります。

  • 下地が健全で、撤去を抑えたいならカバー工法
  • 下地から直したいなら葺き替えや張り替え
  • 複雑形状や継ぎ目の少ない防水層を重視するならスプレー防水

最初から一つの工法に決めず、雨漏り原因、既存層の状態、端部や排水まわり、保証範囲まで確認したうえで、建物に合う防水工法を選びましょう。

非住宅向けの防水工事を業者に依頼するなら…

このメディアでは、その他にも防水工事に関する基礎情報をわかりやすく紹介しています。

防水工事にはさまざまな種類があり、改修では既存防水層の状態や施工箇所の条件を調査したうえで、環境・コスト・相性を踏まえて工法を選ぶ必要があります。特に非住宅の防水工事では、施工場所や用途に応じた提案ができる業者に相談することで、耐久性・工期・コストのバランスを考えた計画を立てやすくなります。

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おすすめの防水工事業者3選

本メディアでは、防水工事が求められる非住宅を『工業施設』『公共施設』『インフラ設備』の3つに分類し、それぞれの施工場所に適した防水工事ができる業者を厳選して紹介します。

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