防水層が劣化すると雨漏りなどの被害が生じるため、劣化に気づいたら早めに調査することが肝心です。このページでは、防水層の劣化を調査する方法や、防水工事別に代表的な劣化現象についてまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
防水層の劣化調査には、主に2パターンあります。目視や指触などによる非破壊調査と、防水層の一部を切り取りサンプル採取する破壊調査です。防水層が露出している場合は非破壊調査のみで行われることがありますが、防水層が露出していない場合は破壊調査が必要となる場合もあります。
1次劣化診断では、最上階の天井や外壁側の内装の漏水状況を目視によって調査します。漏水がない場合は報告書の提出で終了しますが、漏水やその痕跡が認められる場合は追加調査が行われます。
追加調査の内容は、漏水開始時期や漏水量、漏水が生じる条件、被害状況などです。1次劣化診断は、主に屋内での調査がメインです。そのため、普段の生活の中でも目視によって自分で調べることもできます。
2次劣化診断では、防水層を目視や触診、打診などによって調査します。防水層が露出している場合は、防水層の損傷や剥離、浮き、膨れなどの劣化の状況を調査によって把握することが可能です。
コンクリート等で防水層が保護されている場合は、保護コンクリートの損傷具合から防水層の劣化状況を推測します。2次劣化診断で正しく判定するには専門的な知識が必要なため、専門の業者や技術者が入って調査が実施されます。
3次劣化診断では、防水層の一か所を切り取ってサンプルを採取し、劣化状況を詳しく診断します。具体的には、引張試験や針入度試験、軟化点試験などの物性試験によるデータ分析が行われます。
この診断によって、2次劣化診断では判断しづらい防水層の構成や防水経歴、防水層の下層の残留水の有無などを正確に判断することが可能です。なお、1次と2次の劣化診断は無料ですが、3次劣化診断は採取した箇所の修繕が必要となるため有料となります。
塗膜の劣化によって粉状のものが付着する現象です。雨風や紫外線など外部の影響によって生じます。
雨風や紫外線などの影響で塗膜が減少した状態です。塗膜が減耗すると、下地のひび割れを引き起こし、それに追従して塗膜の破断や剥離などの劣化を招く恐れがあります。
シートを貼り付ける接着剤の劣化が原因で起こる現象です。放置すると、口開きの状態に劣化が進んで、そこから雨水が侵入する可能性が生じます。
飛来物によってシートが傷つけられたり、鳥に突かれたりして、シート表面が損傷することがあります。
シートの収縮によって皴が発生することがあります。皴の状態を放置すると、シートの口開きや破断が起きやすくなります。
風によってシートがバタつくと、シートを固定するディスクに浮きが生じます。ディスクの押さえが弱くなるため、雨漏りが生じる恐れがあります。
防水層の上に打設したコンクリートが、熱膨張や乾燥収縮するとひび割れが生じやすいです。動きやすい下地の場合も、同様な症状が起きる可能性があります。
熱膨張や乾燥収縮、下地の挙動により、ひび割れだけでなく収縮目地が突出することもあります。目地が機能しなくなると、防水層の押出しや口開きにつながる恐れも生じます。
雨風や紫外線に晒され続けると保護塗料が剥がれ落ちていき、やがて消失します。防水層がむき出しの状態となり、さらに劣化が進んでしまいます。
下地内で水蒸気が発生し、防水層を押し上げる劣化現象です。接合部周辺で膨れが起きた場合は、防水層が剥離する口開きに発展する可能性があります。
劣化を診断する方法は、目視や触診などの非破壊診断と、防水層の一部を切り取って詳しく調べる破壊診断があります。いずれも専門的な知識が必要となるため、劣化に気づいたら診断が行える専門業者に調査を依頼しましょう。
劣化の症状は、工法や使用する材料によって特徴が異なります。今回は防水工事別に代表的な劣化症状をご紹介しましたが、それ以外にも異変が見られた際は、診断のプロである専門業者に相談することをおすすめします。
工場や施設などの非住宅向け防水工事は、施工場所に適した業者を選ぶことが大切です。施工場所によって適切な工法や防水材が異なるため、業者の特徴や得意な分野を確認したうえで選びましょう。
当メディアでは、「工場や物流倉庫などの工業施設」「学校や共用スペースなどの公共施設」「橋梁や道路などのインフラ設備」の3つに非住宅を分類し、それぞれおすすめの防水工事業者を紹介しています。
本メディアでは、防水工事が求められる非住宅を『工業施設』『公共施設』『インフラ設備』の3つに分類し、それぞれの施工場所に適した防水工事ができる業者を厳選して紹介します。